エレベーター壊れました

 ソファーでごろごろしている。頭と足とがほんの少しずつ収まらず、湿度と気温も快適の器から上にほんの少しずつはみ出している。帳尻合わせなのか、気力は毎日飲みかけのペットボトル麦茶みたいな水位で、カーテンレールの上のチンアナゴマグネットもそっぽを向いている。きっと偶像の先にいる何かしらの神に、ほんの少し見放されているに違いない。風を求めてカーテンを開けると、コツンと音を立てて神が地に落ちた。涼しい空気が入ってくる。深呼吸をして背伸び。そんなに頑張って計算合わせなくていいよ。いつの間にか麦茶を飲み干し、またソファーでごろごろしている。

 ごろごろしすぎなのか、この前住まいのエレベーターが壊れた。当分直る見込みがないみたい。ともすれば休日一歩も外に出ないお前には必要ない、ということか。たまに「エレベーター」と「エスカレーター」がどっちがどっちかわからなくなる。束の間、言葉を心にためて検証しないとピンとこない。他にも「なおざり」と「おざなり」、調子が悪いと右と左も瞬時には分からなくなる。水平方向への見識が浅いものは、ましてや鉛直方向などもってのほかと言うことか、エレベーターへの理解をおざなりにしたツケでもあろう。あってる?

 明日も明後日もきっとエレベーターは動かないし、ソファーからもちょっとはみだす。でも半径5メートルで帳尻合わせちゃだめだ。寝る前にちょっと階段を降りて散歩に行こう。

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