昔テレビで見て、いわた書店の一万円選書に応募してみたいと思い続けていた。しかし、毎年10月の一定期間しか募集しないので、機を逸し続けてきた。
無事に2023年は応募し忘れることなく、そして、運良くすんなりと抽選に通ったのである。
一万円選書は選書カルテなるものに、印象に残った本BEST20を書くことになる。
特に、それぞれの感想や所感を書く必要はないのであるが、折角の機会なので、選んだほんと感想を簡単に書く。
正式なタイトルとかを調べる際はググったけど、あらすじとかは記憶を頼りにしてるので、普通に間違えている可能性が高い。
・「人生の短さについて他2篇」〈光文社古典新訳文庫 セネカ(中澤務訳)〉
ギリシャ哲学枠1。
読んだのが社会人2年目の24歳くらいのとき。ただただ感銘を受けた。
2000年前から人の在り方が変わっていないことに、驚く。現代人の根拠のない傲慢さに絶望を覚えたが、一方で2000年間、人が進歩していないのならば、私が進歩できなくとも仕方がないし、良い人間になるための参考になる思考法は既に過去に積み上げられていると希望も持てた。
哲学者の本ではあるが、哲学を説明するためのものではなく、哲学者でない他者への手紙であるので、実践哲学として読むことができる。手紙の存在意義も時代によって変わるよなって、ふと思った。
・「星を継ぐもの」 J・P・ホーガン
古典SF枠。
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの「愛はさだめ、さだめは死」とか「たった一つの冴えたやりかた」と迷ったが、「星を継ぐもの」に。しかし、古典SFはこの3冊しか読んだことがない。
古典SFは発想は面白いが、文が古臭くて読みづらかったり、今ではありきたりな発想になっていたりと欠点が多い。トップがこのレベルの面白さならば、二番手群は読むほどではないだろうと思ってします。
悪いことを書いたが、「星を継ぐもの」を含めて読んだものはちゃんと面白い。月の裏側で古い死体が見つかったことを発端に、人類の歴史を解明していくストーリー。探求心がくすぐられるのと、舞台が宇宙で壮大なのがみどころ。
最後まで読み終えれば、誰もがタイトル「星を継ぐもの」の美しさに心を奪われる。
関係ないけど、アニメ「ふしぎの海のナディア」の最終話「星を継ぐもの」も綺麗なタイトル。反面、Zガンダム劇場版1作目「星を継ぐ者」はいただけない。
・神戸・続神戸 西東三鬼
森見登美彦が絶賛し、解説を書いていたので読んだ。
反政府運動していた詩人が、戦時中・戦後の神戸で暮らすエッセイ。
外国人とか厄介者が神戸のある地区にひとまとめにされていたらしい。
戦時中の話ではあるが、そんなに暗くない。不思議な話。
・恋文の技術 森見登美彦
森見登美彦枠。森見登美彦は大体読んだ。
「有頂天家族」×2と、「四畳半…」系統は軽すぎるので除外。好きだけど。
「きつねのはなし」、「夜行」路線は多分もっとうまい人がいるので除外。好きだけど。
短編集も20に入れる程ではないと思い除外。
「熱帯」「聖なる怠け者の冒険」などもいまひとつぱっとしない。
「ペンギン・ハイウェイ」は、嫌いじゃないけど、対象を広げようとして外した感があって、やや嫌い。
ので、恋文の技術に。
2009年に書簡体小説を書く発想がいいし、内容も、森見登美彦らしいばかばかしさもあり、やや灰色の爽やかな青春が描かれていて、盛り上がりすぎず、ちょうどいい。
この前新刊が出たが、読んでいない本が溜まり続けているので、文庫化まで待つ。
最近、賞を取った万城目学については、この枠であったかもしれないし、別枠でに入れるべきだったかもしれない。別枠に書く。
・ホビットの冒険 トールキン
古典ファンタジー。最近読んだので、入れた。映画版の「ロード・オブ・ザ・リング」しか見てなかったので、
思いのほか、話がこじんまりとしていることに戸惑う。
しかし、期待は裏切らず、ファンタジーらしいファンタジー。
最近、指輪物語を読み終えた。指輪物語は、壮大な歴史の一遍を記したもので、いいにはいいがこってりとしすぎている。
そういう意味では、単に田舎者が見知らぬドワーフたちとドラゴン退治の不可思議な冒険を行うホビットの冒険は、こじんまりとしていていい。
・沈黙 遠藤周作
信仰とはなんたるか、集団心理とはなんたるか、なぜ沈黙するのか。
閉じた江戸時代の表現もいいし、深く考えさせられる。
「別の時代に生まれていれば、良い司祭になれたかもしれない。」みたいなことをロドリゴ(?)がキチジロー(?)に思うシーンが好き。
人の弱さや醜さをさらけ出すのは個人の資質だけのせいではなく、時代や環境の側面もあるのだろう。
遠藤周作だと「深い河」、「海と毒薬」も面白い。なお、他には「哀しみの歌」しか読んでいない。
・FACT FULNESS ハンスロスリング、オーラロスリング
思い込みって怖いねって本。
みな、読めばいい。私も2024年6月までに読み返す。
・道は開ける デール・カーネギー
古典的自己啓発書。古典は良い。
しかし、たとえ話が古臭いので、いかに自分に合うように変換して受け取るかがポイント。
車で一軒一軒巡っていたころのアメリカのセールスマンの教訓はそのままでは価値がない。
あと、適度に薄めて読む必要もある。
多分、内容を分割して、現代に合うように変換すれば、この一冊から何冊もの自己啓発書が作れる。
これも読み返したい。
※注:後編へ続く